・温泉観光地の旅館などの場合、当然のことながら大自然豊かな立地環境を有していることが多いものです。「雄大な山々が背景にあったり」「渓流の流れる音が空間を満たしていたり」と自然環境に恵まれているがゆえに、「観光地」として成り立っている地域も多いのではないでしょうか。
そんな場所で営んでいる「旅館など」の改修計画や新規計画に携わっている中で、時たま、出くわすのが「自然環境」と「立地景観(宿泊景観)」とを同じ要素として考えてしまっている旅館などの運営者の方々です。
◆旅館の室内(客室・お風呂など)から見える景色≪景観≫が大切。
・こうして文字にしてしまえば、当たり前のこと・・と誰しもが思うのですが、実際に旅館の空間を見てみると、「景観」が正直良くないにもかかわらず、旅館の室内空間から、外部の自然環境と一体化させよう・・開放感を高めよう・・といった空間造りをしている場所も多々存在しています。
これは、「自然環境」と「景観」を区別することなしに、空間づくりをしてしまったのだと思われます。
例えば
旅館そのものは、雄大な山々を背景とした場所に建っているとしましょう。旅館の自然環境としては実にすばしらいものと考えられます。旅館全体を外部から眺めたときには、その自然環境の良さが十分に感じられるのでしょう。
しかし。室内空間からは「方角的」もしくは「山全体を見上げることができない状況(庇などで遮蔽)」となってしまうケースもとても多いものです。
そういう状況にもかかわらず、「旅館の立地条件・自然環境がずはらしい」ということに捉われすぎてしまうと・・実際に室内から見える景色≪景観≫への意識が薄れてしまって、ついついそんな景観にもかかわらず、「外部開放型」のつくりとしてしまい、宿泊客にとって「減点の印象」を与えてしまっていることもあるのです。
そこで日々生活している人にとっては、「自然環境」の印象が強いものの、初めて(たまに)訪れる宿泊客にとっては、室内からの「景観・景色」のほうが大切なのです。
ゆえに、まずは現在の立地環境にて、「自然環境」と「景色」とをしっかり分けて意識した上で、改装計画を策定していくことが第一歩となるのです。
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